犬の散歩のしつけ方
犬に散歩のしつけをすることは、犬と生活する上で必要な過程です。
当然のことですが、犬がうまく散歩できるようになるためはしつけが必要です。しつけをしていない犬は、リードを付けて歩くことを知りません。また、犬が散歩中に歩かなかったり、虫や鳥などの小動物をむやみに追いかけてしまうかもしれません。犬の散歩をしつけをすることは、あなただけでなく犬の安全、そして周囲の人々の安全のためにもとても大事なことです。
犬には獲物を狙う習性があるため、その習性により遠くに行ってしまったり、迷子になることがよくあります。そのため、いつでもどこでも犬をリードから放して自由に走り回らせることはできません。犬の散歩のしつけは、飼い主と犬の両方にとって欠かすことができません。飼い主は、散歩のしつけ方を学ぶと共に、きちんと犬に散歩について学ばせることが必要です。
なぜ犬はリードを引っ張るの?
犬は自分が行きたい方向に飼い主を引っ張って進みます。それは、本来の犬の習性によって、周りにある様々なものが気になったり、関わりを持ちたいと感じるためです。それにより、犬が人と一緒に歩くと、自分が進みたい速度と比べて遅いと感じることがあります。さらに、リードを付け、かつ人間が引っ張っている状態は、犬にとって決して「自然」な行動とはいえません。
多くの犬は、首に圧力を感じると自然に体を前に傾けるような姿勢になり、体の前方に力が入ってしまいます。犬にそのような圧力をかけないようにするためには、散歩中はリードをピンと張って使うのではなく、たるませた状態で使うことが望ましいです。リードをたるめた状態で一緒に歩くことはなかなか難しいもので、根気強く、計画的に、そして持続的に練習することが必要です。
犬の散歩のしつけ方
ここでは、犬の散歩のしつけの中で代表的な「リーダーウォーク」と「ヒールウォーク」のしつけ方法を紹介します。
リーダーウォークのしつけ
リーダーウォークとは、犬が飼い主から離れず寄り添い、犬がリードに引っ張られることなく歩けるようにしつけをすることです。この方法は英語で「loose leash walking(リードがたるんだ状態での散歩)」と呼ばれている通り、飼い主の持つリードは軽くたるんでいる状態が理想的です。飼い主が犬を引っ張ることも、犬が飼い主を引っ張ることもありません。つまり、リードの長さに合わせて歩けるように訓練するのです。
リーダーウォークのしつけ方法を紹介します。
いきなり屋外で行うのではなく、まずは室内の練習から始めます。最初はリードを付けずに行います。しつけは、じっくり時間をかけて進めていくようにしましょう。
犬を自分の横に呼び寄せ、きちんと横に来たらご褒美におやつをあげます。犬は、“飼い主の横に行くとご褒美がもらえる”と少しずつ学んでいきます。
飼い主は犬より数歩前に出て犬と距離をとり、犬を引き付けながら歩いてみます。犬が再び自分の横まで来たら、またご褒美におやつをあげます。
繰り返すうちに、犬は“飼い主の横に行くこと”と“それは良いこと”ということを結びつけます。犬がきちんと理解するまで、室内でこの動作を繰り返します。
首輪またはハーネスとリードをつけた状態で、上記の手順を繰り返します。
室内での練習をマスターした様子が見られたら、普段から犬が散歩する公園などの屋外に場所を変えます。
屋外での犬の散歩は、室内と違って非常に多くの誘惑と刺激があります。周囲に気が散らないような場所から始めていきましょう。
もちろん、「よくできたね!」と犬を褒めることも忘れずに散歩のしつけを行いましょう!
ヒールウォークのしつけ
もうひとつの犬の散歩のしつけ方は、ヒールウォークと呼ばれる方法です。ヒールウォークとは、犬が飼い主の前や後ろを歩くのではなく、常に飼い主の真横を歩く方法です。飼い主の左側につくことをヒールと呼ばれており、右側につくをツイテと呼ばれています。犬は飼い主と歩調を合わせ、飼い主が立ち止まれば立ち止まり、飼い主が歩けば歩く、といったように歩調を合わせます。散歩中、交通量や通行人が多い場所など、危険な場所で犬の安全を守るため、犬を飼い主の真横に寄り添わせながら歩きます。この方法は、犬が飼い主の側にいる必要があるときなど、普段からは使わない方がよいでしょう。毎日の散歩で行ってしまうと、犬の動きや運動を制限しすぎる可能性があります。
このしつけ方法は、先ほど紹介したリーダーウォークと似ていますが、犬が飼い主の真横にいるように、より強く認識させることが必要です。
ヒールウォークのしつけ方法を紹介します。
おやつを使って犬を左側に誘います。あなたの左側に来たらご褒美のおやつをあげましょう。
犬を側にいるように維持するには、飼い主もその場から動かずこまめにご褒美を与え続けることが必要です。
飼い主は一歩前に出て、もう一度おやつを使って犬を左側に誘導し、左側に来たらご褒美のおやつをあげます。
ご褒美をあげるのは犬が真横にいるときだけにしましょう。もし、犬が飼い主の横から離れてしまったご褒美はあげてはいけません。横に戻るように誘導して、もう一度練習します。
ペースを上げたり、止まったり、少しずつ変化をつけていきます。犬が変化に慣れ始め、飼い主と歩調を合わせられるようになったら、横にいるときだけご褒美をあげます。
犬が飼い主の横にいることに慣れ、安定してきたら、「ヒール!」と声をかけ、その掛け声が“飼い主の横に来ることの合図”であることを教えていきます。その掛け声を言って犬が横に来たら、ご褒美をあげます。
そして、「ヒール」を終了するときは、“おしまい”という解放するような合図を出し、別の方向におやつを投げます。
犬がヒールをマスターするまで、何度も繰り返して練習します。マスターするまでは、犬の散歩は公園などの屋外の安全な場所で行いましょう。
犬の散歩のしつけは何歳から始めるべき?
散歩のしつけに関わらず、どのようなしつけにおいても、子犬のうちに始めるのが一番効果的です。生後4~6週間から散歩のしつけを始めることができます。子犬は子どもと同じように物覚えがよいですが、一方、成犬に新しい物事を教えるのはなかなかハードです。ただし、成犬に散歩のしつけをすることも不可能ではありません。
なぜ「犬の散歩のしつけ」が大切なのか?
先にも述べたように、犬と正しくそして安全に歩くため、散歩のしつけは絶対に欠かすことができません。犬の散歩のしつけが、犬と飼い主にとっていかに重要であるのかも理解しておきましょう。
もし、犬側が主体となり自由にリードを引っ張って歩くような散歩では、飼い主にとって快適な散歩ではなく、もどかしい気持ちになってしまいます。また犬が散歩中に歩かないこともあるでしょう。その結果、犬を散歩させること自体にストレスを感じてしまい散歩に連れて行くことが億劫になったり、散歩に行ったとしても必要以上に犬に怒ってしまったり、罰を与えたりしてしまうかもしれません。犬にきちんと散歩のしつけを行うことは、人も犬もリラックスして歩くために大切なことなのです。
飼い主の持つリードに力が入ってしまうと犬にもそれが伝わり、犬は不満を感じてしまいます。そのような状態では、犬にストレスが溜まり、攻撃的になったり、他の犬を威嚇する可能性も高くなってしまいます。
リードをピンと張った状態で引っ張り続けることは、犬の首を痛めたり、関節に負担をかかるなど、身体的にも大きな負担がかかります。
リードの持ち方や張り具合(たるんでいる状態・ピンと張っている状態)は、飼い主と犬との重要なコミュニケーションとなります。飼い主がリードをどのように持っているかによって、その気持ちが犬に伝わっています。また、犬も同様です。犬が突然がリードがピンと張ったら、犬が怖がっていたり、あるいは抵抗しようとしているサインかもしれません。
大切な犬だからこそ、危険から守り、安全な散歩を行うために犬の散歩のしつけは大切なことです。
そして何より、犬の散歩をしつけをすることは、案外簡単にできるのです。
犬の散歩のしつけの6つのコツ
1. 犬の前を歩く
犬より前を歩くことで、あなたが主導であると認識されるようになります。逆に、散歩中に犬があなたをコントロールするようであれば、犬が主導であることを示します。散歩をするときのポイントは、玄関から最初に出るのは飼い主であり、帰宅時に最初に玄関に入るのは飼い主であることです。また、散歩中の犬のポジションは、飼い主の後か横を維持させることが大切です。
2. 短めのリードを使う
短めのリードを使い、首の一番上に取り付けることで、愛犬への指示、誘導、ポジションを正す場合などに、コントロールがしやすくなります。さらに補助が必要な場合は、高性能な犬用首輪を検討してみることをお勧めします。また、犬の行動を正すときは、常に犬の安全を確保しながら行いましょう。
3. 犬の散歩に十分な時間をとる
犬は人間と同じように日中活動するので、散歩は午前中が理想的です。散歩時間は、30分から1時間くらいを目安にするとよいでしょう。犬によって違いはありますので、かかりつけの獣医師に相談したり、愛犬の様子を伺って、必要な量を満たしているかを確認しましょう。
4. 散歩中に犬へご褒美を与える
犬が適切な散歩の状態を保てるようになってきたら、散歩中のご褒美として、一時的にドッグランに放したり、匂いを嗅いだりするといったリラックス時間を与えましょう。このときのポイントは、リラックス時間の終了時間をきちんと決めることです。犬がリラックスする時間は、集中して散歩した時間よりも短い時間であることが理想です。
5.散歩後もリーダーでいる
家に着いても、リーダーとしての役割はやめず、リードを片付けたり靴を脱ぐ間も犬がおとなしく待てるようにしましょう。
6. 散歩の後に食事を与える
散歩の後に食事を与えることで、食べ物や水を得るためには「働かなければいけない」と犬に意識づけることができます。
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