愛玩動物看護師とは
愛玩動物看護師になる方法

愛玩動物看護師は、愛玩動物看護師法に基づいて設けられた、農林水産省と環境省が管轄する国家資格です。愛玩動物看護師とは、愛玩動物に関する看護師のことを指し、愛玩動物の診療の補助、病気やけがをした愛玩動物の世話や看護、愛玩動物の愛護や飼育についてのアドバイスなどを行い、愛玩動物の健康管理を行います。

犬や猫をはじめとする愛玩動物は、大切な家族の一員という認識が定着しつつあり、それに伴い求められる獣医療もより一層向上しています。専門的な知識と高い技術力を持つ愛玩動物看護師の登場で、実際の現場では単なる介助だけではなく、さらに質の高い獣医療を提供することが可能となり、その結果、医療体制の充実が期待されます。

また、飼い主や動物とより近い存在である愛玩動物看護師は、介護を必要とする高齢動物や動物の栄養などに関する専門的な助言・指導を行うことができるようになります。

農林水産省は、これまで動物看護師が行えなかった投薬や採血などの診療補助に加え、改定動物愛護法で義務化されたマイクロチップの装着を愛玩動物看護師が行えるようにすることを発表しました。こうした診療補助業務は、愛玩動物看護師の有資格者でなければ行うことができない業務です。（獣医師を除きます）

愛玩動物看護師法における愛玩動物とは、「獣医師法に規定する飼育動物のうち、犬、猫、その他政令で定める動物」と規定されています。なお、政令で定める動物とは、セキセイインコやオカメインコを含む愛玩鳥（オウム科全種、カエデチョウ科全種、アトリ科全種）のことです。

他にも人気のあるうさぎやカメなどのペットは、法令上では「愛玩動物」に規定されていません。しかし、この規定に含まれていない動物であっても、愛玩動物看護師は診療の補助を除く業務（看護、愛護、適正飼養支援など）を実施することは可能とされています。

人間の医療現場における医師や看護師のように、動物の医療現場でも獣医師と愛玩動物看護師は異なる役割を担っています。獣医師は動物の病気やケガなどを検査・診断・治療するのに対し、愛玩動物看護師は獣医師と飼い主をつなぐ役割を担っています。獣医師の診療サポートや病院での動物のケアはもちろん、飼い主のメンタルケアや飼育に関する相談にも応じています。

原則として愛玩動物看護師養成学校に入学し、3年以上の課程を修了した後、養成学校または大学が指定するカリキュラムを履修し、国家試験を受験する必要があります。

愛玩動物看護師の国家試験は、受験資格が定められています。

以下の項目のいずれかに該当する者

• • 学校教育法に基づいている大学で、主務大臣が指定する課程を修了し卒業した者（大学）

  • 農林水産省令及び環境省令で定める基準を満たし、都道府県知事が指定する愛玩動物看護師養成施設において、3年以上愛玩動物看護師として必要な知識及び技能を学んだ者（養成施設）

  • 外国の関連学校等の卒業者、または外国で愛玩動物看護師免許に相当する免許取得者で、主務大臣が上記2つに規定する者と同等又は優秀であると認める者（外国の関連学校等の卒業者）

そのため、国家試験を受験するためには、まず大学や養成施設で学ぶ必要があります。指定された大学や養成施設で愛玩動物看護師の課程を修了し、国家試験に合格した上で、愛玩動物看護師として登録することになります。

愛玩動物看護師法施行後5年間（2027年4月末まで）は、受験資格の特例措置が定められています。以下のいずれかに該当し、2027年4月末までに農林水産大臣及び環境大臣が指定した講習会を修了した場合、受験資格を得ることができます。

• • 施行日前に、大学にて主務大臣が指定する課程を修了・卒業した者

  • 施行日前に大学に入学し、主務大臣が指定する課程を修了し、施行後に卒業した者

  • 愛玩動物看護師養成施設において、施行日前に愛玩動物看護師として必要な知識・技能（診療の補助を除く）の修得を終えた者

  • 愛玩動物看護師養成施設において、施行日後に愛玩動物看護師として必要な知識・技能（診療の補助を除く）の修得を終えた者

    • 愛玩動物看護師国家試験予備試験（予備試験）に合格した者（予備試験とは、愛玩動物看護師（診療補助を除く）の業務に5年以上従事した者、または同等以上の経験を有すると農林水産大臣および環境大臣が認めた者で、主務大臣が指定する講習を修了した者と規定されています。予備試験は、2027年4月末までは、毎年1回以上実施されます）

施行令では、国家試験の受験料は27,200円、予備試験の受験料は14,000円と定められています。受験料は、試験を実施する指定試験機関が実際に負担した費用を考慮して決定されるものであり、政府及び指定試験機関の利益を図ることを目的とするものではありません。

マイクロチップ装着の義務化や保護された動物のケアなどにより、動物看護師の需要はさらに伸びるでしょう。マイクロチップの義務化は、動物の遺棄や虐待の防止、災害や事件・事故などで飼い主と離れ離れになってしまった場合の捜索のため、2019年6月に改正動物愛護法で法案が制定されたものです。

また、保護された動物は、獣医師や動物看護師などのボランティアグループが、ワクチン投与やケガ・病気の治療をしてから譲渡する活動を広げ、保護動物の殺処分ゼロを目指そうとします。そのような中、保護動物の譲渡までの体調管理や、譲渡後の飼い主希望者へのアドバイスなどのケアが求められており、今後愛玩動物看護師の需要はますます高まることが予想されます。

愛玩動物に関する豊富な専門知識と技術を持つ愛玩動物看護師には、多くの可能性があります。動物の健康や福祉に対する意識の高まりから、愛玩動物看護師を求める場は今後も拡大していくと考えられ、以下のような活躍の場が挙げられます。

• 動物病院

• ペット関係の企業：ペットフード会社、ペット用品会社、ペット保険会社

• 動物愛護団体

• ドッグカフェ

• ドッグラン

• グルーミングサロン

今後、愛玩動物看護師の活躍の場は広まっていくことでしょう！